第3回日本口腔医学会学術大会(WEB開催)
学会テーマ
口腔機能発達不全症
~子どものイートロスを予防しよう

開催日:7月11日(木)
開催場所 日本大学(東京都千代田区神田駿河台1-8-13)
余白(20px)

大会長

米永一理
(日本大学歯学部摂食機能療法学講座 主任教授)

実行委員長

板井俊介
(東京大学大学院医学系研究科イートロス医学講座 特任助教)

準備委員長

中山渕利
(日本大学歯学部摂食機能療法学講座 准教授)
余白(40px)

開催概要

第3回日本口腔医学会学術大会(WEB開催)
学会テーマ
口腔機能発達不全症~子どものイートロスを予防しよう

開催日 7月11日(木)
開催場所 日本大学(東京都千代田区神田駿河台1-8-13)
参加費 1万円
余白(40px)

主催:日本口腔医学会

Japan Oral and Medical Society
17:00~ 大会長講演『子どものイートロスを予防しよう』
米永一理(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)

17:20~ 教育講演1『子どもの食べる機能の発達と特徴』
阿部仁子(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)

17:40~ 教育講演2『口腔機能発達不全症とは(病態と評価・診断方法)』
阿部仁子(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)

18:00~ 教育講演3『口腔機能発達不全症への対応(管理計画立案と指導・訓練の仕方)』
阿部仁子(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)

18:20~ 特別講演『小児科医からみる口腔機能発達不全症の介入の必要性』
小川えりか(東京都立広尾病院小児科)

18:40~ 教育講演4『小児の摂食嚥下に関わる算定項目』
酒井真悠(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)

主催:日本口腔医学会 Japan Oral and Medical Society
学会誌:日本口腔医学会誌 Journal of Oral and Medical Science
学会ホームページ:
https://www.joms.jp
余白(40px)

大会長講演

子どものイートロスを予防しよう

米永一理(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)
現在予防医学として、フレイル・サルコペニア・イートロスへの対応が求められている。特に「食べられない状態が続くこと」を意味するイートロスは、歯科発の概念として、高齢者の要介護防止のため予防が重要と報告されてきた。一方で、このイートロスは、高齢者特有の状態ではないことも明らかとなりつつある。特に出生率が低下し、子育て環境が変化する中で、イートロスの小児がいることが想定されるようになってきた。実際、2018年には関連する病名として、口腔機能発達不全症も導入されており、今後は生まれてから亡くなるまでのイートロス対策が重要となると想定される。よって、今回これらのことを踏まえ、子どものイートロスの現状と予防へ向けた展望をまとめる。

教育講演1

子どもの食べる機能の発達と特徴

阿部仁子(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)
我々が生きていくのに必須な「食べる機能」は,生まれながらに持っているものではありません。生まれたばかりの乳児はまず母乳・ミルクを哺乳しますが,生後5〜6ヶ月ほどで離乳食が始まり,月齢に応じて離乳食の形態を変えながら「食べる機能」を学び,獲得していきます。その間,口腔だけでなく身体の機能も同時に発達し,多少の個人差はありますが小学校入学前までには自分の手で食具を持ち,1人で食事ができるようになります。そして,「好き・嫌い」もこの過程で形作られていきますが,この子どもの「好き・嫌い」には,見た目や味だけではない「食べる機能の問題」も関わっていることがあります。教育講演1では,子どもの食べる機能の発達とその特徴をお話しします。

教育講演2 

口腔機能発達不全症とは(病態と評価・診断方法)

阿部仁子(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)
口腔機能発達不全症は2018年に新規導入された歯科病名です。それまで,歯科領域における機能障害の病名は「摂食機能障害」のみで,先天性疾患を持つ乳幼児から脳血管疾患等の全身疾患を有する高齢者で摂食機能障害の病態が認められる場合に病名の対象となります。摂食機能障害がその原因となる明らかな全身疾患を有するのに対し,口腔機能低下症は,その病態を「『食べる機能』,『話す機能』,『その他の機能』が十分に発達していないか,正常に機能獲得ができておらず,明らかな摂食機能障害の原因疾患がなく,口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的関与が必要な状態」(日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」令和6年3月)と定義されています。診断にあたっては,離乳完了前と完了後のチェックリストに則り,「食べる」「話す」「その他」の機能不全の評価を行います。教育講演2では,口腔機能発達不全症の病態と評価・診断方法の詳細についてお話しします。

教育講演3

口腔機能発達不全症への対応(管理計画立案と指導・訓練の仕方)

阿部仁子(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)
口腔機能発達不全症と診断された児には,チェックリストをもとに,様々な原因によって明らかとなった機能の獲得が遅れている状態を見極め,機能発達の遅れや,誤った機能の獲得の修正回復のための対応(指導・訓練)が必要になります。指導・訓練にあたっては,児の年齢に応じてステージ1〜5(乳児期,幼児期初期,幼児期中期,幼児期後期,学童期)に分類し,正常な機能の発達段階と比較したときの「食べる」「話す」「その他」に該当するそれぞれの機能発達不全の該当項目に対して,機能獲得を進める,あるいは軌道修正するための管理計画を立案する必要があります。つまり,いかに正常な機能の発達を理解しているかが非常に重要であると言えるでしょう。教育講演3では,口腔機能発達不全症と診断された子どもと養育者(主に両親)への指導と訓練についてお話しします。

特別講演

小児科医からみる口腔機能発達不全症の介入の必要性
~その子の偏食、本人まかせでいいですか?~

小川えりか(東京都立広尾病院小児科)
わたしたちは、「食べる」という基本動作は自然に身に着くと思っているが、実はそうではないことを「口腔機能発達不全症」という病名が教えてくれる。小児科医は、偏食のこどもをみる機会は少なくないが、その子が食べる機能をきちんと獲得しているかを確認する機会はあまりない。また、自閉傾向の強い子は摂食の問題を持つことも多いが、親は食べさせることにつかれてしまい、小児科医も栄養摂取を優先し、経鼻胃管や胃瘻を提案することもある。このとき、食べる経験を積まなければ食べる機能は発達しないということにはなかなか思いが至らない。筆者は、さまざまな理由から正常に食べる機能が発達していなかった症例に対し、歯科医師による専門的な介入を得て食べる機能を獲得していった例を複数経験しており、症例を提示しながら、早期介入の必要性について考えてみたい。

教育講演4

小児の摂食嚥下に関わる算定項目

酒井真悠(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)
小児の摂食嚥下障害に関わる算定項目は、浸透しているとはいえない。また、2018年から病名として導入された口腔機能発達不全症に関わる算定項目も、あまり活用されていない。少子化に伴い、一人一人の食育や食支援に注目が集まっている中、これらの病名により、先天性の疾患だけでなく、成長過程における「食べる」の管理や指導が可能になっている。よって、今回われわれ歯科医療者がしっかりと継続的に患者・家族を支えられるよう、小児の摂食嚥下障害に関わる算定項目をまとめる。

筆頭演者紹介

(あいうえお順)

阿部仁子(Abe Kimiko)

【現職】日本大学歯学部摂食機能療法学講座 准教授

【略歴】
2004年3月 日本大学歯学部卒業
2008年3月 日本大学大学院歯学研究科歯科基礎系専攻修了
2008〜2012年 日本大学歯学部摂食機能療法学講座 助教
2010〜2012年 カナダオンタリオ州 ウェスタン大学健康科学学部
       コミュニケーション科学機能科 Postdoctoral fellow
2017年〜 現職


【資格等】
博士(歯学)(日本大学)
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定士
日本老年歯科医学会 認定医
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 評議員
日本老年歯科医学会 代議員

小川えりか(Ogawa Erika)

【現職】都立広尾病院 小児科 医長

【略歴】
2007年3月 群馬大学医学部卒業
2009年4月 日本大学医学部小児科
2018年6月 日本大学医学部小児科 助教
2022年4月~ 現職

【資格等】
博士(医学)(日本大学)
日本小児科学会小児科専門医・指導医
日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医
日本小児心身医学会認定医
日本アレルギー学会専門医

酒井(泉)真悠(Sakai Mayu)

【経歴】
2015年 日本大学歯学部 卒業
2017年 日本大学大学院 入学
2021年 日本大学大学院 卒業
2021年 日本大学歯学部摂食機能療法学講座 助教採用

【資格】
博士(歯学)
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定士
日本老年歯科医学会 認定医

米永一理(Yonenaga Kazumichi)

【現職】日本大学歯学部摂食機能療法学講座 主任教授

【略歴】
鹿児島大学歯学部、東海大学医学部卒業
2006年 東京大学医学部附属病院
2013年 十和田市立中央病院
2015年 東京大学医学部附属病院顎口腔外科・歯科矯正歯科助教
2017年 十和田市立中央病院総合内科医員
2017年 日本大学歯学部兼任講師
2018年 JR東京総合病院総合診療科医長
2019年 JR東京総合病院地域医療連携相談センター長
2019年 十和田市立中央病院附属とわだ診療所院長
2020年 東京大学大学院医学系研究科イートロス医学講座特任准教授(講座長)
2023年 日本大学歯学部臨床教授
2024年 現職

【資格等】
博士(医学)(東京大学)
日本口腔ケア学会口腔ケアアンバサダー委員会委員長
日本内科学会認定内科医
日本専門医機構認定総合診療専門医/専門研修指導医/プログラム統括責任者
日本プライマリ・ケア連合学会認定医/指導医
日本抗加齢医学会認定専門医
日本病院総合診療医学会認定病院総合診療医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本医師会認定産業医
日本再生医療学会認定医
日本口腔外科学会認定医
日本口腔科学会認定医/指導医
日本口腔内科学会指導医
認知症サポート医
難病指定医
医師臨床研修指導医/歯科医師臨床研修指導歯科医 他
余白(20px)

第3回日本口腔医学会学術大会(WEB開催)
学会テーマ
口腔機能発達不全症
~子どものイートロスを予防しよう

開催日 7月11日(木)
10,000円(税込)